「おまけ」の人生

今朝、地元の大きな病院へ定期検査へ行って来ました。

実はボク、二年前のちょうど今頃、ちょっと大きめの手術をしたんです。

その後の経過を一年毎に観察する日が今日でした。

結果、大きな問題はなかったのですが、気になる点がなかった訳ではないそうで、無罪放免とはならず、また一年後に定期検査と相成りました(^_^;)

二年前にボクが患った手術が必要な病、その名を「耳下腺腫瘍(じかせんしゅよう)」と言います。

大雑把に言うと、首筋に腫瘍が出来る病気です。

この病気が厄介なのは、腫瘍を手術で取ってみないと良性なのか良くないものなのかが分からない点だと告げられました。

そして、進行を止める手立てはなく、外科手術で取るしかないということも告げられました。

それまで大きな病気も手術もしたこともない健康体だったので、それを聞いた時はかなりビビりました(笑)

それでも手術をしなければ治らない病気ですから、覚悟を決めて手術の日を決め、後はその日を待つだけとなりました。

診断結果を聞いたのは年末で、ボクの仕事も一番忙しい時期でしたので、落ち込んでいるような余裕はなく、ただひたすら作業をする毎日でした。

そんなある日、その日は祝日でしたので、お店としては休みの日なのですが、ボク独り出勤し、作業をしていました。

他に誰もいない静かな作業場で仕事をしていると、やはり病気と手術のことを考えてしまいます。

人って、自分自身のことは意外と冷静に受け止めることが出来るようで(もちろん深刻かどうかが不明だったというのもあると思いますが)、どうなっても結果は受け止めなくてはいけないなぁ~みたいに自分自身を納得させるような気持ちでいたんですね。

でも、その日はふと家族のことを考えてしまったんですね。特に、まだ幼稚園に通う娘のことを。

作業をしながら、考えたくないのにあれこれ考えます。

「もし深刻な病状だったら、もう成長する姿を見守ることが出来ないのかな・・・?」とか、

「もし自分がいなくなったら、寂しい思いをさせてしまうんだろうな・・・」とか思っちゃって、気がつけば、あふれる涙を止めることが出来なくなっていました。

その時、「あぁ、やっぱりもっと生きたいな・・・」と心から思いました。

そんな思いを抱えつつ、生まれて初めての全身麻酔による手術を受けたのですが、結果的に手術は無事成功し、腫瘍もかなり珍しい物だったそうですが、良性であるという診断をいただきました。

これからは「おまけ」の人生

希望や楽天的な気持ちは持ちつつも、もしかしたら・・・という思いもありましたので、結果には本当に安堵しました。

そしてその時に強く思ったのは、この経験は少なからず人生観を変えるだろうな、ということでした。

ボクが大好きなアメリカのTVドラマに「ハワイ・ファイヴ・オー」という刑事ドラマがあります。

その中に出て来る主人公の相棒であるダニー・ウィリアムズ刑事が、昔話を主人公にしている時にこういうことをいいます。

「オレの人生はあの時からオマケなんだ」

ダニーは言います。昔、捜査で犯人グループに捕まって同僚が殺され、次は自分の番という絶体絶命の危機に、いくつかの偶然が重なって奇跡の生還を果たした。本来ならあの時に死んでいてもおかしくない。だから、今の人生はオマケみたいもんだから、悔いのないように生きると。

これを観た時、「そうか、ボクが感じていたけれどうまく言葉に出来なかったことは、こういうことか!」と思いました。

もしかしたら・・・という病を経て日常生活を送ることが出来ているのは、実に幸せなことで、これからの人生はオマケを貰えたぐらいの謙虚な気持ちで感謝しながら生きなければならないのだな、と。

とは言え、すぐにそんなことは忘れてしまう未熟なボクなので、年に一度の定期検診は、初心に還る日となったのでした。