他人の事はどうでも良い。大事なのは自分はどうか?ということ

職人って、技術が根幹にありますので、どうしても腕自慢をしたがる人が多い傾向があるように思います。

もちろん技術職ですから、それ自体は仕方がないというか、自分がナンバー・ワンであるというぐらいの気持ちでないと、ライバルたちと切磋琢磨していけないと思います。

ただ、腕自慢が過ぎるばかりに他の同業者のことばかり気にして、あれこれ皮肉交じりに批評したり、口が過ぎて誹謗中傷まがいの言葉で貶めて、自分を優れた職人であるかのように見せたがるとても残念な人もいます。

そもそも、職人の技術とは何のためにあるのでしょうか?

10年ほど前に表舞台へと出て以来の信念としていて、サイトやブログなどでも度々言っているのですが、「職人は、誰かに求められてこそその存在意義がある」とボクは思っています。

誰にも負けないように技術を磨くのも、慢心をせずに常に学ぶことを怠らないことも、全ては自分の技術や志を必要としてくれる「誰か」のために必要不可欠なことであって、決して同業者との勝ち負けなどというくだらないことのためではありません。

お会いしたことはないのですが、とある有名な鮨職人の方が念願だった銀座にお店を出すまでのドキュメントを何年か前にテレビでやっていて、その中で番組のスタッフの方がその方に「(銀座の)他のお店のこととか気になりますか?」と問うたところ、その鮨職人の方は、「いや、全然。他人の事なんて関係ないよ。大事なのは自分がちゃんとやるべきことをやってるかどうかだよ」と答えられていました。

いやぁ~、嬉しかったですね(笑)

知名度やレベルとかはさておき、「あぁ、こんなに凄い職人さんも、ボクと同じ信念を持って仕事をされているんだな」と。

大事なのは、自分がちゃんとやるべきことをやっているかどうか?

全てはこれに尽きます。

職人は、依頼してくれる方の信頼に応えたり喜んでいただくために技術を磨くんです。

そこを間違えなければ、自ずと答えは見えてくるはず。

「他所はよそ」って子供の頃に親に言われませんでした?(笑)

本当にその通りで、まずは自分がどうか?ということを常に意識していきたいと思っています。

【訪問着 柄部分の濃い変色の染み抜きと染色補正】

着物 柄の変色シミ 染み抜き前

多彩な色を使った柄部分に、濃い変色のシミがあります。

このような場合、シミを抜くと柄の色も抜けるので、色数が多いほど染み抜き跡の色修正が大変になってきます(汗)

着物 柄の変色シミ 染み抜き後

何とかこのように直せました。