着物に付いた血(血液)のシミの染み抜きとクリーニング

シミには様々な種類があるのですが、種類が違うと言うことは、染み抜きの難易度も変わってくるということになります。

一般的にも落ちにくいと言われるシミの一つに、血(血液)のシミがあります。

この血液のシミ、我々のようなプロの染み抜き屋でも、綺麗に落とせる場合とそうでない場合とがあります。

あまり染み抜きに慣れていないクリーニング屋さんや、お金にならないことはしたくないあまり面倒なことはしたくない染み抜き屋さんなどに血液のシミの染み抜きを相談すると、まだ見ても試してもいないのに「あぁ~、血液のシミは落ちないんだよねぇ」とか言われちゃったりすることも少ないないようです。

血液のシミは落ちない。 これ、3分の1ぐらいは間違ってないです。

血液にはタンパク質が含まれているのですが、この人体から出たタンパク質、長い時間の経過や熱が加わったりすることで、硬化して簡単には落ちないシミになってしまうんですね。

なので、タンパク質を含む血液のシミは、中に含まれているタンパク質が硬化してしまうと簡単には落ちないシミになってしまうということになります。

ですが、これはあくまで血液のシミの状態によるという話で、状態によっては綺麗に落とせる場合が多いんです。

ここから皆さんに非常に重要なことをお伝えさせていただきます。

血液のシミは、付いて時間が経たず何もしなければ、綺麗に落とせる場合がほとんどなんです!

先にも申しましたが、時間が経つとタンパク質が硬化してしまい、非常に落ちにくいシミになってしまう血液のシミも、付いてすぐであれば、それほど難しいシミではないんです。

また、血液のシミが付いた時に慌てて水などを使ってシミを落とそうとする方もいらっしゃるのですが、これもよくありません。付いただけのシミというのは、付いたままの状態から一気に落としてしまうのが一番綺麗に落ちるんです。なので、中途半端な染み抜きをして血液のシミが残ってしまった場合、付いただけの状態に比べて仕上がりが良くならない可能性が高いのです。

また、着物の素材である絹は濡れた状態での摩擦に非常に弱いので、下手に染み抜きをすると、生地の表面が毛羽立って元に戻せなくなる可能性も高いのです。

着物 血液シミ 染み抜き前

着物の柄の中に、どす黒いシミがあります。 これ、血液のかたまりのシミです。 触ると固いのですぐに分かります。

このシミも一見落ちないシミなのですが、幸い、シミが付いたままの状態で、なおかつタンパク質が硬化する所までいってなかったので、多少時間はかかりましたが、綺麗に落とすことが出来ました。

着物 血液シミ 染み抜き後

繰り返しになりますが、もし着物に血液のシミが付いたら、そのまま何もせずに信頼の置けるクリーニング屋さんや染み抜き屋さんなどに染み抜きの依頼をしてください!!

そうすることが、結果的に大切なお着物を救うことになるのです。