染み抜き屋をしています。
正式な職業は染色補正といいます。
染み抜きの仕事って細かい仕事も多いので、「染み抜きをしている職人は、さぞかし手先も器用なんだろうなぁ… 」とか思われることが多いです。
でもね、
夢を壊してゴメンなさい
ボク、めっちゃ不器用です。
「いやいや、そうは言ってもそれほどでもないでしょ〜?」
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、残念ながら、マジな話です。
子供の頃とかに、何をやっても上手く出来ない子がクラスに一人はいませんでしたか?
そう、それがボクです。
関西で言うところの「どんくさいやつ」ですわ。
うちの娘、成績優秀というほどではないんでしょうけど、学期末にもらってくる通知表、三段階評価で、「もう少し」つまりは1が全然ないんですよね。
そして運動も結構得意。
で、先日部屋を片付ける必要があったので、荷物を整理していたら、仕舞い込んでいたボクの小学校の通知表が出てきたので、懐かしくて中を見てみたんですよ。
そしたら驚愕ですよ。
三段階評価で、「がんばろう」つまりは1が一番多い。
想像以上の成績の悪さ。
うちの娘は一体誰に似たんでしょうか?(笑)
そんな劣等生だったボクですが、どれぐらい「がんばろう」が多かったか?
まず、走ったら足が遅い。
クラスの中でも普通体型の同級生の中では一番遅い部類でした。
球技が苦手。
相手が放ったボールが上手くキャッチ出来ない。
逆に投げるのもコントロールが出来ない。
絵を描くが壊滅的に下手。
例えば何か動物の絵を描いたとすると、まず何を描いたか分からない(笑)
書く字が汚い。とにかく汚い。
たまに自分で書いたメモが読めなくて頭を抱えることも(笑)
その他にも、必ず反対方向に行ってしまう重度の方向音痴とか色々あるんですけど、羅列してたら辛くなってきました(涙)
とまぁかなり不器用でおよそ才能というものには恵まれなかったボクですが、今はプロの染み抜き屋としてバリバリ働いています。
もちろん、自分の仕事に自信がありますし、本当に有り難いことに、お客様や業界の方にお褒めの言葉をいただくことも数知れずです。
天職という表現は努力をしていないようで嫌いだ、という方もいるみたいですが、もし天職という概念があるのなら、染み抜きは間違いなくボクの天職だと思います。
不器用な人にもきっと輝ける場があるはず
ボクが今の染み抜きという天職に出会えたのは、父親が染色補正という仕事をしていたという幸運からです。
不器用なんですが、生まれ持った運だけはかなり良いんですよね。
ある意味、持って生まれた運だけでここまで来てるんじゃないかと思うぐらい(笑)
運で運命の仕事に就いたボクですが、今の仕事は自分に合っていたんでしょうね。
こんなこと言うとまたどっかから怒られるかもしれませんが、ボク、染み抜きの仕事であまり苦労した記憶がないんですよね。
染み抜きは職人仕事ですから、素人がいきなり出来るようなものではありません。
日々の積み重ねが大事です。
でも、染み抜きで最も難しいと言われる染料による色の修正も、基本を教えてもらった後はそんなに悩んだ記憶がないんですよね。
これはボクが染み抜きの天才とか言いたいわけじゃなくて、きっと不器用で人より劣っているボクにも、きっと得意というか誰かのお役に立てることがあって、それがたまたま染み抜きだったんだと思うんですよね。
だから、ものすごい不器用な人にも、きっとどこかに輝ける場所があると思うんです。
そんなの無理、って思いますか?
そんなことはないです。ボクが生きる証拠ですよ。
だから、自分に劣等感を持っている人、きっとあなたにも輝ける場所があるはずです。