手間賃仕事を値切ることが意味するもの

旧正月から本気出す。

ブログを書いては更新が止まり、再開してはまた止まる。

そんなことを繰り返してきたんですが、お客様や知り合った方から「ブログ読んでます!」と言っていただくことも度々あり、さすがにこりゃいかんな、と思ったのと、このたび栄えある伝統工芸士に認定されたというのもあり、新たな気持ちで年明けから本気出すつもりだったんですが、元旦の夜からいきなり酷い風邪で寝込んで出鼻を挫かれたまま、またずるずると一ヶ月が過ぎてしまったので、旧正月の今日を、改めて本気を出す日に制定いたしました(以上、長文の言い訳でした)

以前、コツコツとブログを書いていた時に、運良くバズった(拡散されて、多くの方に読まれた)記事があるんですが、自分で言うのもなんですけど、とても良い記事だと思いますので、景気付けにリライトして再スタートを切りたいと思います。

ボクの仕事は手間賃仕事

ボクの仕事の正式名称は「染色補正」という職業なのですが、俗に言う「手間賃仕事」という部類の仕事になります。

手間賃の意味をWeb辞書で調べると、「手間に対して支払われる賃金。手間。手間代。」と書いてありました。

つまり、手間賃仕事というのは、その人がかけた手間に対して報酬を支払う仕事ということになるかと思います。

例えばボクの仕事は、お客様から着物や洋服などの染み抜きを承って、その作業にかかった手間に見合う料金を提示してそれを頂戴するわけですが、依頼品の状態によってそれぞれかかる手間と難易度と費やす時間が変わってくるので、料金は基本的にこちらが決めて見積もりを提示します。

ただ、プロですから、もちろん料金算出には根拠があって(自分の中にですが)、それを基に料金を算出してます。

経済にはさほど詳しくありませんので、ネットやメディアで見聞きしただけですが、以前の酷かった時期に比べると景気も回復しているそうで、一時期ほどは安さが礼賛される世の中ではないのかもしれませんが、それでも、どうせなら安い方が良いと思うのは、人として当たり前の感覚だと思います。

でも、手間賃仕事というのはちょっと特殊な職種で、物を買うのと同じ感覚で値切られたりすると、非常に困るのです。

業界あるある話になりますが、着物の染み抜き品があったとして、作業時間の予想から5,000円という見積もりを出したとします。
それに対して、「たくさん品物出すから、3,000円にしてよ」とかふざけた困ったことをいう業者さんがいますが、それは有難いどころか、大変迷惑だったりします。

例えば物販なら、原価を割らなければたくさん売れた方が儲かる場合もありますよね。例えば、売価5,000円で原価が2,000円の品物だとすると、5,000円で10個売れたら30,000円の粗利ですが、3,000円で50個売れたら、50,000円の粗利になります。
(物販については素人なんで、間違っててもツッコミはご遠慮ください)

一方、手間賃仕事はどうでしょうか?手間賃仕事は、先に書いたように、人がかけた手間に対して支払われるお金です。それが全て。

ということは、全く手抜きをせずにかける手間が同じなら、一点あたりの料金が下がれば下がるほど、同じ売り上げを上げるには労働時間を増やすしかないわけで、結果的に働くほど必ず損をしていくということになるわけです。

要は、手間賃仕事というのは、れっきとした商いでありながら、その実、時給の仕事と非常に性質が似ているのです。

手間賃仕事≒時給

例えば、貴方が時給1,000円で一日8時間働くアルバイトをしていたとします。

そんなある日、お店のオーナーが、「一日15時間働かせてあげるから、時給600円にしてよ。」と言ってきたとします。
このとんでもない申し出を受ける方が果たしているでしょうか?まずいないですよね?

ですが、手間賃仕事を安易に値切るということは、それと同じくらい非常識なことを相手に要求しているということを知っていただきたいのです。

ボクの仕事以外にも、手間賃仕事はたくさんあります。
パッと思いつくだけでも、クリーニング屋さん、理美容師さん、マッサージ屋さん、Web制作関係、大工さんなどなど・・

手間賃仕事の職人は、いわば己の技術をお金に替えているわけで、自分の持つ能力に対する自信やプライドも持っています。

手間賃仕事を値切るということは、場合によっては、値切る相手の人格否定にもなり得るということを、知っておいて欲しいと思います。