心のシミ、落とします

ボクは染み抜き屋なんですが、よくご紹介いただく際なんかに「心のシミも落とせますか?」とか「顔のシミは落とせません」みたいなつかみのギャグをかまされたりします(笑)

染み抜き屋ですから、出来ることは染み抜きですので、着物や洋服なんかのシミを落すことがボクに出来る仕事です。

でも、最近ふと思ったことがあるんですよね。

確かにボクの仕事は衣類の染み抜きだけど、お客さんが求めていることの本質はそれじゃないんじゃないか?って。

先日、とあるお着物のトラブルを抱えたお客様からお着物をお預かりさせていただいて、染み抜きの可否やお見積りをご連絡させていただいた時のことです。

そのお着物は、雨に濡れて裏地(八掛)の色が広範囲に表地に滲み出してしまった状態で、いくつかのお店に見せたり問い合わせても「これを直すのは不可能」だと断られ続けていたらしいんですね。

ボクはお見積りをする際は、長年の経験で見ただけで染み抜きの可否が分かる物以外は、例えどんな有名なお店や職人さんが断ったお品物でも、必ず染み抜きのテストを行って診断します(もちろん、テストの料金はいただいておりません)

テストを行った結果、何とかなるという結論に達したので、その旨をお客様にお伝えしました。

そうすると電話の向こうから、お客様の涙声が聴こえてきました。

「何軒も断られてしまって、でも大事な着物を自分のミスで台無しにしてしまってどうしたら良いのか本当に悩んでて・・・。直せると言ってもらえて本当に嬉しいです」と仰っていただきました。

その時、前から漠然と思っていたことが天啓のように頭の中に閃きました!

ボクは単に衣類の染み抜きだけをしてるんじゃないんだ

ボクは染み抜き屋なんで衣類のシミを染み抜きすることは当たり前のことなんですが、本質はそこではなく、「依頼される方は、染み抜きをして欲しいのではなく、染み抜きを依頼することで心の中の憂いや悩みを解消したい」のではないかと思ったんですよね。

これって、今までつかみのギャグとして言われ続けてきた「心のシミを落としている」んじゃないか?って閃いたわけです。

こういうこと書くとまた色々言ってくる人とかいるんでしょうけど、ボクはここに力強く宣言いたします。

「染み抜きで、心のシミも落とします」

ボクが考えたキャッチフレーズなんで、同業者さんはパクらないでくださいね(笑)